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高橋英樹氏も花粉症とかで頻りに咳をしていましたが、館長も風邪をこじらせて最悪のコンディション。それでも本番放送の状況では、そのような気配は余り感じられず、良かったと思います。
(2015年4月30日)
4月26日オンエアのスナップ。
残されているたかへの唯一の自筆書状――それがこのラブレター。
近年、井伊直弼の実像を見直そうとする動きがみられるようになりました。館長による直弼の新史料(公用方秘録、ラブレター、絶筆等)の公表や、執筆中の直弼伝記(『雪の朝に向って』)の抄録発表も多少の影響を与えているようです。今回、先の「英雄たちの選択/開国の“守護神”井伊直弼の苦悩と誤算」に続いて、「高橋英樹
特別講義“花燃ゆ”井伊直弼 悪人にあらず!」(仮題)の取材に協力致しました。
高橋英樹氏は周知のごとく、時代劇俳優としては既に大御所的存在。ロケは彦根城が最も多かったという英樹氏と、彦根城を我庭のごとく走り廻った館長との、井伊直弼に係るもろもろの話。特にたか女へのラブレターをめぐっては、二人とも大変に盛り上り、直弼の新しい人間像を認識しあったことでした。
彦根藩士の赤兜について質問する高橋英樹氏(写真右)
直弼の恋の歌について解説する館長(写真中央)
ちなみに館長はティーンエイジの末年、彦根で長期ロケが行われた「青い山脈」(昭和38年公開)の撮影現場を見に行ったことがあり、この時吉永小百合、浜田光夫、田代みどりさんらと共に高橋英樹氏を知ったそうです。――撮影の余話にそんなむかしばなしも出ましたが、あの映画は英樹氏自身の俳優人生に一大転機をもたらした、忘れ難い作品になったとのことです。
(2015.04.05)
◆放送は下記の通りです。
平成27年4月26日(日)午後5:00~5:29(仮)
NHK総合テレビ
様々なる意匠
―甲冑武装の正と奇―
※中央には人間が入っています(はんにゃ川島さん)
詳細はこちらからご覧下さい。
群馬県より修学旅行で・・・
中学三年生の5人が修学旅行の自由行動で井伊美術館訪問を計画。自ら望んで来ただけあって熱心に鎧兜を眺めていました。館長の研究趣旨「則物致知」の実行です。特別に兜を触らせてもらった時は本物の兜の重みに感動していたようでした。これが実学です。
★館長講演の詳細が決定しました。
「戦国の合戦と甲冑武具の実際―武田遺臣軍団井伊家を中心に―」
平成27年8月30日(日)13:30~15:00
於:新城市開発センター(旧鳳来開発センター )
3階 大会議室
《愛知県新城市長篠字下り筬1‐2》
講演要旨
①武田と井伊両氏のゆかり
②中世の終焉・近世の幕開き―時間の軽重―
③甲冑武具の変遷と実用性
・中世的甲冑から近世具足へ
④軍編成
・戦争支度・物見 ・大将と影武者 ・騎馬と徒士 ・戦斗者と補助者
⑤戦いの実際
・大将の心得 ・馬の重要性 ・槍と刀 ・首狩族
・夜討・朝駆 ・分捕りと盗み ・首取りと首盗り
⑥戦国のさむらい道
・奉公ということ ・主従の義理 ・引込(籠)
・男をたてるーとは
その他・・・
歴史講座は、戦国時代を色々な方面から多角的に見ることを目当てに企画されています。甲冑武具のエキスパートである井伊館長は、合戦における甲冑の装備、戦いの真実の面から戦国時代へと切り込んでいく予定です。
夏休みの終わりに、館長の型にはまらない縦横無尽なトークをどうぞお楽しみください。
感想少々。
予告のところでも申しましたが、この種の番組はある程度、企画段階から結論ありきで進められるものです。それ故に制作側は、いかに視聴者を、その方に興味を抱かせて引っ張っていくかに番組の成否がかかっています。拙家の『公用方秘録』がしっかりと紹介されていましたが、贅沢をいえばそこから更に一歩の踏みこみがなかったのが聊か遺憾でした。しかし、それも前記のことを思慮に入れれば当然なのでしょう。一歩を踏みこんでしまえば、その先は1時間や2時間では事済まぬ、まことにシリアスな直弼人物論になってしまい、収拾がつかなくなります。番組は楽しく面白くなくてはなりません。深刻は無用であり、避けるべきが常識です。その点でいえば実にうまく枠内にまとめられていたと感じました。プロとして当然の仕事といえばそれ迄ですが、これが並大抵でない仕事であることは、何度も取材される身に立ってみないと実感できぬことです。「無念なり」という拙『公用方秘録』中にある直弼の呻きがタイトル中のキーワードに用いられていたのは、流石プロの慧眼であると敬服しました。また、直弼の政治行動が、結果的に日本の外国支配による植民地化を防いだ――という大局的な見方は、従来の直弼番組にはみられない切り込み方で、それだけでも十分意義のある番組ではなかったかと思います。
出来得ればせめて拙子存命の内に、人間直弼の真実をそのままに伝える番組が制作されることを念願しています。
〈番組制作の方々、特にドキュメンタリージャパンの皆様には、ご苦労様でした。
今後も更に意欲的な作品制作活動をされることを期待致します。〉
(2015.04.11 井伊)
(写真画像は放送から)
「安政の大獄」において反対勢力に大弾圧を加え、独断で日米修好通商条約に調印した冷徹な政治家として知られる井伊直弼。しかし一方で、直弼の極めて人間的な真の姿を伝える史料が井伊館長によってかなり以前に発見されていたこと、そして近年になってそれが公表され、漸く識者の間に認識されはじめたことは余り知られていません。その史料は、『公用方秘録』の原本を浄書した写本です(専門的な分類は一般にわかりにくいので、仮に「原写本」と略称します)。もとは直弼のブレーンであった公用人宇津木六之丞景福が記録したものですが、館長の発見によって、実は完全なものがこれまでには存在していなかったことがわかりました。
これまでは旧来からあった彦根井伊家旧蔵本の『公用方秘録』及びその写し物一類が正しいものと信じられていました。ところが、これらは明治になって旧藩関係者によって大幅に削除や改竄を施されたものであることが、原写本の発見によって判明したのです。
この『公用方秘録』の原写本を、館長はその来由を尊重して『彦根藩公用方秘録―木俣本』と命名、40年以前ごく簡単な解説のみにとどめた影印本として限定出版(1975)しましたが、都合50年に近い歳月、つまりおよそ半世紀の間、一部史家を除く他一般にはその由緒や歴史的重要部分を明かすことを控えていました。それは俗にいってしまえば「井伊直弼英雄神話」に対する配慮のため、もう少し理想的にいえば、「井伊直弼」が聊かでも公平冷静に認識判断される時代まで、その刻をまったということです。是非善悪をこえた「歴史と人物」の検分覚知には、ファナティックな視線は禁物です。大儀なことですが、歳月が必要でした。
既述のごとく旧来の『公用方秘録』(彦根井伊家旧蔵本)は後人によって大きく書き換えられているという事実が隠されてきたため、そのまま直弼伝の中心核をなす真実の第一級史料として汎用されてきました。しかし、直弼の政治的真実を伝える『彦根藩公用方秘録』原写本の発見と公表によって、従来の直弼のイメージは大きく書きかえられることになります。そして今やこの書冊は、幕末の直弼の政治行動を正確に伝える最も史料的価値の高い歴史資料となったのです。
歴史のエポック、真実を伝える史料の護持と公表のタイミングをはかることは、強い忍耐と決断を要します。半世紀に余る蓄積の史料をもとにしたライフワーク「井伊直弼史記
―雪の朝に向って―」を執筆中の井伊館長にとっても、今回の番組における取材協力依頼は時宜を得たものと感じられたようです。
オリジナルである原写本の『公用方秘録』がどのように扱われ、そしてそこからいかなる表情の直弼があらわれるのか。「番組」としてモチーフやテーマがある程度用意された一定の枠組みの中では、取り上げ方にも限度があるとは思われますが、興味あるところです。
(『公用方秘録』及び「井伊直弼史記 ―雪の朝に向って―」(抄録)についてはリンク先をご覧ください)。
(2015.03.04)
《番組内容》―制作企画書より―
歴史のターニングポイントで、英雄たちに迫られた選択。その時、彼らは何を考え、何に悩んで一つの選択をしたのか? その時の彼らの心の中、脳の中に迫る歴史番組『英雄たちの選択』。今回は、日米修好通商条約締結の中心となった井伊直弼にスポットをあてる。
井伊直弼は、独断で通商条約に調印した「開国の英傑」、あるいは「安政の大獄」において反対勢力に大弾圧を加えた冷徹な政治家として知られているが、反面「水戸殿に睨まれればどんな災難があるか分からない」と前水戸藩主・徳川斉昭を恐れるなど、人間的な一面を伝える史料も残っていることはあまり知られていない。また近年、通商条約に関する新史料が公開され、条約締結にいたる詳細な経緯が明らかになった。そこには、独断専行のイメージとは裏腹な、朝廷や臣下に配慮を怠らない実直な井伊直弼の姿が描かれている。
番組では、名君として領民に慕われていた彦根藩主井伊直弼が、列強による植民地化という国難に当たって、幕府の最高責任者大老に選出され、文字通り命がけで国政に挑んでいく姿を描いていく。
◆放送は下記の通りです。
平成27年4月9日(木)夜8:00~9:00(仮)
(ほか再放送・オンデマンド放送あり)
★館長講演予告
「戦国の合戦と甲冑武具の実際―武田遺臣軍団井伊家を中心に―」
この夏三河国長篠にて、館長の講演が開催されることが決定しました。
平成27年8月30日(日)午後
於:鳳来開発センター《愛知県新城市長篠字下り筬1‐2》
天正3年、ここ長篠での合戦で織田信長と共に戦い武田を破った徳川家康。その数か月前、家康によって井伊家中興の祖・井伊直政は見出され、戦国一の猛将としてのスタートを切りました。
日本の歴史を大きく変換したこの地での歴史話。如何なる展開になるのか、どうぞお楽しみに。
(講演前のスナップ・長篠城本丸址にて)
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昨年度の先輩たちのアドバイスを受け、館長から日本刀について学ぶため、今年も茗渓学園(茨城県つくば市)から研究修学の生徒さん達が来館しました。数多くの質問リストを手に時を忘れること2時間半。教科書では学べない武士や刀剣、また甲冑の裏話を存分に聞いて、御一同満腹の面持ちで館を辞しました。
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中学二年生、若き研究者田中くん
岐阜県からはるばる井伊直弼研究のために来館した田中くんは中学二年生。館長の専門でもある直弼に熱心な若者の為、特別講座が開かれました。「歴史に興味のある優秀な若者を見ると応援したくなる」これは若人に向けられる館長の口癖で、そのような青少年に対してはいつも特別扱いです。「日本の将来の如何はこういう若者達が握っている!」と。
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(NHK 制作発表資料2015年8月より)